介護業界の各施設が長年頭を悩まされ続けている問題が、介護現場の慢性的な人手不足問題だ。日本は高齢化が進んでおり、「2025年問題」という言葉が生まれるほど将来的には介護を受けられない高齢者が増えるだろうと予想されている。「2025年問題」についてはこれからの介護業界を考えるで詳しく説明されているため、興味があるなら読んでみると良い。

介護業界はそんな日本を支える非常に重要な業界であるのだが、仕事内容の過酷さや低賃金であることを理由に介護の現場から離れてしまうスタッフが少なくない。また、介護の現場は閉鎖的な空間であるという面もあり、一度職場の人間関係が悪化してしまうと居心地が悪くなり退職をしてしまう人もいる。さらに、介護の現場では多くの女性が活躍しているが、そのため結婚や出産、育児を理由に退職をしてしまう人もたくさんいるのだ。このような理由で退職した女性の多くは介護の現場の過酷さを知っているため、職場復帰の際に介護業界を避けることが多いのも介の現場の慢性的な人手不足の原因の一つになっている。

そこで各施設が取り組んでいるのが、労働条件の改善と働きやすい職場作りだ。幅広い人材を採用することで安定した労働力の確保に努めたり、正社員の時短制度など介護スタッフの負担を軽減させるシステムを導入することで退職者の増加を食い止めたりなど、各施設の取り組みは様々だ。介護の現場の人手不足問題が解消されれば、介護スタッフの負担の軽減につながり、介護サービスの質の向上にも良い影響を与えることになるだろう。今後も介護が必要な高齢者が増加する日本社会では、介護の現場の慢性的な人手不足問題は社会全体で取り組まなければならない課題の一つなのだ。